2008年以前に設けられていた「人材投資促進税制」について教えて下さい。

 

この制度は、2008年度の税制改正によって2008年4月1日から開始される事業年度については、「中小企業者などにおける教育訓練費の税額控除」と変わることになりました。その以前の事業年度に対する人材投資促進税制には、以下の2つの仕組みで成り立てていました。
1.増加教育訓練費用額の税額控除:教育訓練費用額数が比較教育訓練費用額数以上である場合に、その以上の部分の額数の一定の割合の税額控除を可能にするものです。
2.中小企業者などの教育訓練費の総額に関わる税額控除:農業協同組合じゃどや中小企業者について、1の代わりにその事業年度に発生した損金算入される教育訓練費の全額の一定の割合の税額控除を可能とするものです。

この制度の適用対象となる法人は青色申告を行った法人で、上記の2の適用が受けられるのは、その中でも農業協同組合などと中小企業者に限定されていて、適用対象となる事業年度は、2005年4月1日~2008年3月31日までの期間内に始まる事業年度となります。
ただし、適用対象年度でも、解散事業年度や設立事業年度、生産中の各事業年度は対象外となります。

教育訓練費の範囲は、その法人が使用人の職務に必要である知識や技術を向上・収得させるために支払う費用で、以下のようなものとなります。
1.法人がその使用人を他の人の教育訓練などに参加させる際に支払う受験手数料など
2.法人がその使用人に対して講習、教育、研修、訓練などを自分で行うために指導者や講師などに支払う謝金や報酬、料金とその教育訓練のための設備や施設の賃借費用など
3.法人から委託を貰った他人が教育訓練などを行う際に、その人に対して支払う額数
4.法人が教育訓練などの用途に使用する教材や教科書などの製作や購入に必要な費用:製作の場合は、他人に委託して製作する場合に限定されます。

比較教育訓練費用額数とは、このせいどの適用対象になる事業年度の開始日の前の2年以内に開始した各事業年度の損失金額に参入される教育訓練費用額数の合計を、その2年以内の事業年度の数で割って計算した学数となります。

増加した教育訓練費用に応じる税額控除の限度額は、以下の計算式によって算出した金額となります。
ただし、Bの税額控除限度額が対象事業年度の法人税額の1割相当の額数以上である場合は、控除を受ける金額はその1割相当の額数が限度になります。

A  (適用年度の教育訓練費の額数-比較教育訓練費用額数)=イ
B  イ×0.25=税額控除の限度額

一方、農業協同組合などや中小企業者の教育訓練費の全額への税額控除の限度額は、以下の計算式により算出される金額です。
ただし、こちらもBの税額控除の限度額が対象事業年度の法人税額の1割相当の額数以上である場合は、控除を受ける金額はその1割相当の額数が限度になります。

A  (適用年度の教育訓練費用額-比較教育訓練費用額)÷ 比較教育訓練費用額×0.5=ロ
B  適用年度の教育訓練費用額×ロ(Bが0.2を超える場合には0.2)=税額控除の限度額

この制度の適用を受けるためには、控除の対象になる金額を確定申告書等に記すとともに、その計算に関わる明細書と教育訓練などの内容、その実施年月日、参加者名などを記した書類を確定申告書に添える必要があります。

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