Q.会社を設立し、初年度の決算業務を行っているところですが、思ったより利益が出て、税金を支払う用意をしなくてはなりません。開業費については、5年間で均等に償却するそうですが、節税できる方法はありませんか?
A.開業費(会社設立後、営業開始までに支出した開業準備のための費用のことです。以下同じです)は5年間で償却するのが原則ですが、任意償却も認められていますので、初年度の税負担を抑制したいのであれば、その全額を損金に算入するといいと思われます。
開業費は、会社法における繰延資産に該当します。繰延資産というのは、会社が支出する費用であって、その支出の効果が1年以上に及ぶもののことです。合理的な期間に分散して償却を行い、その間は資産として計上するのが原則です。
繰延資産の償却額は、次の式により算出します。
繰延資産の額×その事業年度の月数(支出事業年度は支出日より期末までの月数)/支出の効果の及ぶ期間の月数
ただ、開業費については任意償却を選択することもできますので、初年度に全額を損金に算入したり、赤字の間は償却を行わずに黒字になった6年目や7年目に一括して償却したりすることも可能です。すなわち、いつでも、開業費の額の範囲内で自由に償却を行うことが認められています。設立初年度に利益が発生している場合、一般的には一括して損金に算入します。このことにより、初年度における税負担を抑制することが可能です。
ちなみに、創立費(会社の負担に帰すべき設立費用のことです)についても、開業費と同様に任意償却が認められています。