内部統制のシステムは、企業経営の透明性に重要な関わりがあるのですか?
内部統制の前提として、会社がまず考えなければならないのが「透明性」です。透明性は企業経営にとって不可欠であり、ガラス張りの経営をしなければならない時代になっています。そして、透明性を担保するキーファクターが内部統制のシステムであるといえます。 では、ルールをチェックするため、適正にコントロールされているか否かをチェックするとしたら、なぜそのようなことをディスクロージャー(公表)する必要があるのかという疑問が生じます。それは、 経営者には、株主からの受託責任があり、企業を取り巻く利害関係者に対して説明を行う責任があるからです。未上場会社で、株主が1人だけであって株主と経営者が同一であるという場合には、説明責任は全くなく、ガバナンスの必要性もありません。しかし、上場会社については、多くの外部株主が存在します。経営者は、この外部株主に対する説明責任を負っていて、これをアカウンタビリティーと呼びます。なお、アカウンタビリティーというのは、アカウンティング(説明)とレスポンシビリティー(責任)を組み合わせた言葉です。経営受託した人々は、ステークホルダー(利害関係者)に対して、受託した責任を負いつつ、アカウンタビリティーを実行することになります。それを担保するためには、内部統制のシステムと運用が必要です。企業経営を車で例えると、透明性とアカウンタビリティーはシャーシーとエンジンの関係であり、それを担保するのは優れた内部統制システムの構築と運用であると考えることができます。
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