‘試験研究費’

小企業を経営しています。今年事業年度に試験研究費が発生したのですが、この費用を法人税から控除することはできないのでしょうか。

 

「中小企業技術基盤強化税制」という制度があります。この制度はその事業年度に乗じた試験研究費(損失金額に算入可能な費用)を、その額数の一定の割合の金額を当該事業年度の法人税額から控除することができるということです。この制度は、「特別試験研究に関わる税額控除制度」と「試験研究費の総額に関わる税額控除制度」と重複して適用することはできません。

この制度の適用対象となる法人は、青色申告を行った農業協同組合などと中小企業者で、対象年度は以下の事業年度以外の年度となります。
1.清算中の各事業年度
2.「特別試験研究に関わる税額控除制度」の適用対象になっている事業年度
3.「試験研究費の総額に関わる税額控除制度」の適用対象になっている事業年度
4.2や3に関する繰越税額控除制度の適用対象になっている事業年度
5.解散(合併による解散は除外)の日の属する事業年度

制度の対象になる試験研究費用は、以下の通りです。
1.技術の改良・発明・考案や製品の製造に関わる試験研究に必要な経費、原材料費、人件費
2.他人に試験研究を委託するための費用などの額数
*試験研究に補充するために、他人から支払ってもらう金額がある場合は、その金額を差し引いた残額が試験研究費用額数となります。

この制度での税額控除の限度額は、当該事業年度の損失金額に算入される試験研究費用額数に12%をかけて算出された金額となります。
しかし、その税額控除の限度額が当該事業年度の法人税額の2割相当の額数を超える場合は、その相当額が限度額となります。

それに、「試験研究費用額数が増加した場合などの税額控除制度」によって、2008年4月1日~2012年3月31日までの期間内に開始される各事業年度に、下記の1や2に当てはまる場合は、どちらかを選んで適用することにより上記の税額控除限度額とは別枠で税額の控除が可能です。この場合の税額控除の限度額は以下の通りになります。
その税額控除の限度額が当該事業年度の法人税額の1割相当の額数を超える場合は、その相当額が限度額となります。

(1) 試験研究費用額数が比較試験研究費用額数の以上であると同時に、基準試験研究費用額数の以上である場合:(試験研究費用額数-比較試験研究費用額数)X 5%
(2) 試験研究費用額数が平均売上金額の1割相当の額数以上である場合:(試験研究費用額数-平均売上金額X10%)X 超過税額控除の割合
*超過税額控除の割合=(試験研究費用の割合-10%)X0.2
*試験研究費用の割合=平均売上金額/当該事業年度の損失金額にさん融される試験研究費用額数

1.比較試験研究費用額:適用される年度の開始の日の前の3年以内に開始された各事業年度での損失金額に算入される試験研究費用額を平均した額数
2.基準試験研究費用額:適用される年度の開始の日の前の2年以内に開始された各事業年度での損失金額に算入される試験研究費用額の中で、一番多い金額
3.平均売上金額:適用される年度とその年度の開始される日の前の3年以内に始まった各事業年度の売上金額の平均額数

この制度の適用対象になるためには、確定申告書などに控除の対象になる金額を記すとともに、その金額計算に対する明細書を添えて申告してください。

制度の適用によって控除されても、中小企業者などの税額控除限度額が法人税額の2割相当額以上となったため控除しきれなかった残額がある場合、その残額について一定の要件を満足させた上で1年間の繰越が可能となります。

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