‘事業承継’
私は40年近く小さな規模の会社を経営していました。将来のことを考えて、私が死んだあとには息子に譲ろうとしています。この場合で、息子に適用することが可能な制度にはどのようなものがあるのでしょうか。
相続税の納税猶予の制度があります。この制度は、ある後継者が相続などによって、非上場会社の株式などを先代の経営者から獲得して、その会社を経営し始める場合は、その経営を承継した人の相続税の中で、その非上場会社に関わる課税価格の8割相当の相続税の納税を猶予してもらえるものです。
その経営の承継相続人が亡くなった場合などは、その一部や全部が免除されることとなると同時に、免除される際まで特例の対象になった非上場株式などの譲渡等の一定の場合は、猶予されている株式の納付猶予税額の一部や全部を利息税と共に納付しなければなりません。
この特例の適用対象になるためには、その会社が「中小企業における経営の承継の円滑化に関わる法律」に従って、会社が経済産業大臣から認定を受けなければなりません。この認定のためには、相続を開始する日から8カ月以内に申請をしてください。
*2013年4月1日の前に申請をする際の、「中小企業における経営の承継の円滑化に関わる法律」の施行規則の一部の改正の省令による改正前の「中小企業における経営の承継の円滑化に関わる法律」の施行規則によって任税を受ける場合には、前もって経済産業大臣の確認を貰うことが必要です。詳しくは、際寄りの地方経済産業局でご相談ください。
1. 会社に対する主な要件
(1) 経済産業大臣の認定を貰った中小企業者
(2) 常時に使用している就業員が一人を超えていること:一定の外国会社株式などを持っている場合は五人以上
(3) 資産運用型会社や資産保有型会社で、一定のものに当てはまらないこと
(4) この会社の株式などや特別関係にある会社の中で、この会社と密接な関係のある一定会社の株式が非上場株式などであること
(5) この会社の特定の特別関係の会社が中小企業者であること
(6) この会社と徳手宇野特別関係の会社が風俗営業とは関係のないこと
(7) 相続が開始する前の3年以内に貰った現物出資など資産の割合が総資産の7割を超えないこと
(8) 経営承継相続人以外の人が会社法第108条第1項第8号の定めによる種類の株式(拒否権がついている株式のこと)を持っていないこと
(9) 相続開始日の含まれる事業年度の直前の事業年度の総収入の金額が0ではないこと
2. 先代の経営者である被相続人に対する要件
(1)相続開始の前にどちらかの日に、会社の体表権を持ったことがあること
(2)相続の開始の直前に、被相続人と特別な関係のある人と被相続人本人で、総議決権数の半分を超える議決権数を持っていると同時に、被相続人が持っている議決権数が経営承継相続人などを除外したこれらの人の中で一番多くの議決権数を持っていたこと
3. 経営承継相続人などに対する要件
(1)被相続人と親族の関係であること
(2)相続が開始する直前に役員であったこと:被相続人が60歳以前に死亡した場合は除外
(3)相続が開始する日の次の日から5カ月が過ぎた日において、会社の体表権(制限つきの体表権は除外)を持っていたこと
(4)相続人と特別な関係にいる人や相続人本人で、総議決権数の半分を超える議決権数を持っていると同時に、これらの人の中で一番多くの議決権数を持っていたこと
(5)相続税の申告の期限までに特例の適用対象を貰う非上場株式などの全部を持っていること
この特例の対象に含まれる非上場株式などの数は、以下の(1)(2)(3)の数からAかBの区分の場合の対する数が限度とあります。
(1)経営承継相続人などが相続などによって獲得した非上場株式などの数
(2)経営承継相続人などが相続の開始前から持っている非上場株式などの数
(3)相続が開始する時の発行済み株式などの総数
A(1)+(2)<(3)X 2/3 →(1)
B(1)+(2)<(3)X 2/3 →(3)X 2/3 -(2)
この特例で納税を猶予してもらえる相続税の額数は、AからBを引いた残額とはります。AとBの税額を算出する場合の経営承継相続人などの以外の人が獲得した財産は、実際に経営承継相続人以外の人が相続などによって獲得した財産によって異なります。
1.経営を承継する相続人などが獲得した財産が、特例の適用対象になる非上場株式などだけであるとみなした場合に計算されるその相続人などの相続税額
2.経営を承継する相続人などが獲得した財産が、特例の適用対象になる非上場株式などの2割のみであるとみなした場合に計算されるその相続人などの相続税額
*その非上場株式などが発行される会社と、その会社と特別の関係にある一定会社が、一定の外国会社や医療法人の株式などを持っている場合は、その猶予される税額の算出の基になる非上場株式などの価額は、その医療法人や外国会社の株式などを持っていなかったものとして算出します。
この特例の適用対象になるために、特例を受けるという内容を記した相続税の申告書を決められた申告期限まで提出すると同時に、特例の適用の要件を確かめる一定の書類を添えることが必要です。
なお、申告書の提出の期限までに、非上場株式などの納税猶予税額とその利子税額に見合う担保を提供しなければなりません。この非上場株式などの全部を担保として提供した時は、納税猶予の適用を受ける相続税額と利子税額に見合う担保の艇庫湯をしたとみなされることになります。
継続して特例の適用を受けたい場合は、その内容と、特例適用の対象になる非上場株式などに関わる会社の経営などの事項を書いた「非上場株式などについての相続税の納税猶予の継続届出書」を、相続税の申告期限を過ぎた後の5年間は毎年に、5年を過ぎた後は3年ごとに管轄税務署長宛てに出してください。
この継続届出書を出してない場合は、特例の適用が途中で打ち切りとなり、猶予してもらった税額とその利子税を納めなければなりません。
猶予税額を納めることが免除される場合もあります。以下の項目に当てはまる場合です。
1.経営を承継する相続人の死亡:死亡した日から6カ月が過ぎた日までに「免除届出書」を先代の経営者の相続税の管轄税務署長宛てに提出してください。
2.申告期限から5年が過ぎた後に、特例の適用対象になった非上場株式などを一定親族に贈与して、その親戚が「非上場株式などに関する贈与税の納税猶予」の適用対象になる場合
3.申告期限から5年が過ぎた後に、以下の項目に当てはまる場合
(1)経営を承継する相続人などが特例の適用対象になった非上場株式などに関する会社の株式などの全てを贈与・譲渡した場合
(2)特例の適用対象になった非上場株式などに関する会社に関して、破産手続きの開始の決定・特別清算の開始の命令があった場合
(3)特例の適用対象になった非上場株式などに関する会社が合併によって消滅した場合で、一定のもの
(4)特例の適用対象になった非上場株式などに関する会社が株式交換などで他の会社の株式交換完全子会社などになった場合で、一定のもの
最後に、納税猶予税額を納めることになる場合は、以下の項目に当てはまる場合となります。
1. 非上場株式などの納税猶予となった税額を納めなければならないケース
(1) 申告の期限から5年以内に、経営を承継する相続人が代表権を持っていないことになった場合
(2) 申告の期限から5年以内の一定の基準日に、常に使用する従業員の数が相続が始まった日の数の80%を下回る場合
(3) 申告の期限から5年以内に、経営を承継する相続人とその相続人と特別な関係にある人が持っている議決権数の合計が総議決権数の半分を超えなくなった場合
(4) 申告の期限から5年以内に、経営を承継する相続人と特別な関係にある人の中のひとりが、経営を承継する相続人などを超える議決権数を持つようになった場合
(5) 経営を承継する相続人などが特例の適用対象になった非上場株式などの一部や全部の譲渡などを行った場合
(6) 特例の適用対象になった会社が解散したとみなされる場合や実際に解散した場合
(7) 特例の適用対象になった会社が資産運用会社や資産保有型会社で一定のものに当てはまることになった場合
(8) 特例の適用対象になった会社の事業年度での総収入金額が0になった場合
2. 納めることになる税額に関する利子税
上記の1のことで納める相続税の額数は、相続税の申告期限の次の日から納税の猶予の期限までの期間に対して年3.6%の利子税が賦課されます。
しかし、各年の特例の基準割合が7.3%を超えない場合は、以下のようになります。
3.6%X特別基準割合/7.3%
*特別基準割合が4.3%の場合は、2.1%となります。
なお、これらの割合には日日によって変動する場合もありますので、際寄りの税務署とご相談ください。