‘教育訓練費’

中小企業の支援の一環として、教育訓練費にかかる税額の控除ができると聞きましたが、もう少し詳しく教えて頂けないのでしょうか。

 

結論から言いますと、2011年の税制改正によって、適用の期限の到来を以て廃止された制度となります。しかし、2008年4月1日~2012年3月31日までの期間内に始まる各事業年度に15%以上の損金額に算入される教育訓練費用額がある場合は、その費用額の一定割合の税額控除ができます。

この制度の適用対象になる法人は、青色申告を行った法人の中で、農業協同組合などや中小企業者となり、2008年4月1日~2012年3月31日までの期間内に始まる各事業年度に適用が可能です。
*ここでの中小企業者とは、出資や資本を持っていない法人の中で常時使用している従業員の数が千人を超えない法人と、出資金や資本金の額数が1億円を超えない法人をいいます。ただし、同一の大規模法人からの発行済み株や出資の総数・総額の1/2を超える部分を持っている法人や、二つ以上の大規模法人からの発行済み株式や出資の総数・総額の2/3を超える部分を持っている法人は除外となります。
*清算中の各事業年度や解散の日の属する事業年度は除外となります。

この制度での労務費に含まれる教育訓練費の範囲は、その法人が使用人の職務に必要である知識や技術を向上・収得させるために支払う費用で、以下のようなものとなります。
1.法人がその使用人を他の人の教育訓練などに参加させる際に支払う受験手数料、受講料、授業料など
2.法人がその使用人に対して講習、教育、研修、訓練などを自分で行うために指導者や講師などに支払う謝金や報酬、料金とその教育訓練のための設備や施設の賃借費用など
3.法人から委託を貰った他人が教育訓練などを行う際に、その人に対して支払う額数
4.法人が教育訓練などの用途に使用する教材や教科書などの製作や購入に必要な費用:製作の場合は、他人に委託して製作する場合に限定されます・

この制度の範囲に含まれる労務費は以下の通りです。
1.給料、俸給、賃金、歳費、賞与とこれらと同類である給与で、使用人に対して支給されるもの
2.法定福利費:労働保険料や健康保険料などの事業主が負担することになっている費用で使用人に関するもの
3.上記に記載されている教育訓練費用

税額控除の限度額は、下記の場合によって計算が異なります。しかし、税額控除の限度額が当該事業年度の法人税額の2割相当の金額以上である場合は、その2割相当の額数が限度となります。

1. 教育訓練費用の割合が0.25%を超える場合
:損金算入された教育訓練費用額の12%相当の額数
2. 教育訓練費用の割合が0.15%を超えると同時に、0.25%を超えない場合
:損金算入された教育訓練費用額に (教育訓練費の割合-0.15%)X40+8%で計算された割合をかけた額数

この制度の適用対象になるためには、確定申告書に控除対象になる金額を記すとともに、その計算に関わる明細書・教育訓練などの内容、参加者名など、実施年月日を記した書類の添付が必要です。

中小企業向けの教育訓練費に対する控除制度の中で、パートやアルバイトの人もその対象に含まれるのでしょうか。あと、この教育訓練費には旅費と交通費が含まれるのでしょうか。

 

教育訓練の対象は法人の使用人となります。この使用人には、通常正社員以外にも契約社員とパート、そしてアルバイトなども含まれます。なので、アルバイトやパートを対象にする教育訓練の費用も、この制度の適用範囲となります。
しかし、以下の項目に当てはまる人は、対象外となります。
1.対象の法人の役員の親族
2.役員と婚姻の届け出は出していないが、事実上婚姻の関係と同じ事情にある人
3.1や2以外の人で、役員から生計の支援をもらっている人
4.2や3の人と生計を一つにしている人の親族
5.使用人兼務役員

なお、使用人を他人から行われる教育訓練などに参加させる場合に、その他人に対して支払う受講証や授業料、受験手数料などの教育訓練に対する対価の費用が、この制度に対象となります。
なので、旅費や交通費などはこの制度の適用対象にはなりません。

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